自然科学を主として勉強してきた私(理系人間?)からすると、人文・社会科学は分かりにくい世界だと思っていました。だって「人」が絡むんですよ、人間って色々やっかいな存在じゃないですか・・・と、長いこと思ってきました。
「人(の心)に絡む話は中々に難しい・・・というか、深い。答えも出ないでしょう」・・・と思っていたのです。しかも現代日本社会では「文系」「理系」と簡単に2つに分類するものですから、自分は理系の人で文系は門外漢・・・と決めつけたのです。
いやいや、はまり込んでいました。何かの(誰かの?)意図に見事にノセられていたのかもしれません。
経済についても、だから私は専門外で経済が分かりにくいのも当然だと思っていました。ですが、ある時気づきました。経済もちゃんと勉強すれば分かります。
今では、一般大衆にとって経済が分かりにくい原因の一つは「正しく整理がなされてないから」・・・ということだと思っています。
何事もシンプルに見れば分かりやすいが、あれやこれや一緒くたになっていますと、そりゃ、分かりにくいです。絡み合った糸(紐でもいい)は解きにくい・・・でしょう。
よく様々なニュースとか話題で「景気良くないねぇ・・・」のような話が誰かから出ると、別の人から「いや、でも最近株価は上がっているから・・・」という話が出たりします。
テレビ番組とかで、いわゆる知識人といわれる人たちが言いそうなことです。政治に近い人も言ったりしますね。そういう場面、観たことありませんか?
彼らが言いたいのは、
「世間では、景気が悪いと感じてるかもしれないが、いや実はそんなに悪くはないのだよ・・・ほら、株価上がってるでしょ!」
・・・ということです。
多分ですが、当時、安倍元総理も同じようなことを言っていたような。菅首相もかな・・・株価、気にしていましたね。
ところで、前の記事で景気について政府が判断に使う数値は、9つの分野に拠ると話しました。
(1)生産 (2)在庫 (3)投資 (4)雇用 (5)消費 (6)企業経営 (7)金融 (8)物価 (9)サービス
の9分野です。
このうち、株価が直接関係しそうなのは、まずは「(7)金融」です。それで次は「(3)投資」でしょうか。ただ「投資」の方はちょっと微妙です。
株式への投資と、そうでない投資とありますからね。
株式への投資は、もしかすると「金融」のところで扱っているかもしれません。(そこは不勉強で確実ではないのです。すみません)
後述しますが、勿論、株価はその他の全ての分野に影響はするのです。でも、これらの分野は相互に影響するのですから、株価が全ての分野に影響するのは当たり前のことと分かっていて、あえて9分野に分けたのです。それが前提です。
さて「直接」株価が影響しそうなのは、経済の9つの指標のうち、せいぜい2つ。もしかすると1つだけの話です。
それが良くなっている・・・と言われても、他のがダメだったら、景気は悪いって話になるわけですね。(過半数で良い数値にならないと景気は良いと言いません)
さらに言えばですが、他の分野の数値は悪くても、もしかすると株価(金融関連の数値)は良くなることもあるから、敢えてそれを持ち出すのだと、私は勘ぐっていました。
前の記事で書きましたがGDPが全然上がらず、実質賃金が下がりまくっている(つまり経済が悪化している)この20年程を見てみますと、(国内の)株価は、意外や上がっていたりします。(@_@)ビックリ
「株価、長期」みたいなワードでググってみて下さい。長期的には上がってるのです。
なんだ、株価と景気、全然、連動してないじゃない!
まあ、今の日本の政治や経済の政策からすると、実は当然だったりするのです。カラクリが分かると納得します。それはどこかでまた紹介しましょうか。
ここで前置きとして、ある人物の話をしておきましょう。デイビッド・アトキンソンという人に、登場願うことにします。
この人は米国のゴールドマン・サックス証券というところのお偉いさんだった人で、今は別の仕事をしていますが、金融については専門家でしかも日本通と言われています。
だから日経新聞社系のいろんなところに登場します。
それで日本の課題はこういうことで、どうしなくちゃいけない・・・みたいなことを「解説」してくれるのです。
当時(2020年頃)、私が彼の記事をよく見たのは日経ビジネスオンラインでした。
日経ビジネスだから、日本中の経済人とか、経営者とか、金融取引する人とかが・・・見ています。
このアトキンソンさん、もう色々なところで、「超」のつく経済の専門家として出てきます。実は菅政権では成長戦略会議という菅首相のブレーンの集まりに入っていました。
この人が言っているのはハズレてるよなぁ・・・と私は当時、思っていました。
どうしてかと言うと、
この人、中小企業を再編しろ・・・とか、日本は(労働)生産性が低いからダメなんだとか言っていたからです。
前に説明したように、生産性というのは、GDPが大きくなれば上がります。(値段の高い)仕事が(たくさん)あれば上がるんだと、説明しましたね。
日本経済がデフレーションにあるという状況をほおっておいて、個々の企業の事業のやり方や、更には労働者の仕事の能力の問題だと言わんばかりでしたから、大きな違和感を感じていましたが、案の定、日本の中小企業を潰しにかかったなと・・・。
それがよく分かりました。
今、日本は実は仕事が少ないから・・・
日本人に能力はあっても、努力するつもりはあっても、そもそも値段の高い仕事が少ないから、GDPが低くて生産性は低いのだと・・・
説明しましたね。
この「仕事」というのは「需要」と読み替えてもいいです。誰かの「需要」があるので「仕事」が発生しますから。
私が言うのではちょっと?と思う方たちも多いと思うので、ちょうど安倍政権で内閣官房参与もしていた京都大学の藤井聡教授が言っているのを紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=jSfs4l5TOH4&list=PLFLpEWYtlUoeDykmBEpgsgisKP48I6xK0
ほらね、みんなが経済の超専門家だと思っていて、マスコミのあちこちで発言するアトキンソン氏みたいな人が、結局ダメダメでしょう。
(ついでに言えば、アトキンソンさんと同様、菅政権のブレーンだった竹中平蔵さんもダメダメだと上記の動画の後半で藤井教授が指摘します。苦笑)
さて、アトキンソンさんご本人、実は分かっていないのか・・・分かっていても、あえて何か意図があってウソをついてるのか。どうでしょうね。
TVや新聞などのマスコミの報道することでも、いやネット情報(ネット記事)でも、注意しなくちゃいけないのです。(私の記事もネット上の情報ですから、注意して読んでもらうのが必要だと・・・言っておきますが。苦笑)
さて、長々と前置きを書いてきましが、経済を正しく理解する第一歩は、
「経済は2つに分けて理解しなくちゃいけない」
ということです。経済の専門家だったら当たり前のことでしょうけれど、一般大衆は知らないのです。(私も60歳近くなるまで分かっていませんでした)
経済は2つに分けて考えるのです。実体経済と金融経済です。
それは何か・・・早速、Googleで検索してください。
するとね、色々な記事・解説が出てきます。この色々出てくる解説にもちょっと注意が必要です。
書いている人の立場、読んでいる人の立場で、違う理解になります。
まあまあ良さそうなのを引用しますと・・・
http://park15.wakwak.com/~zeirishi/finance002.html
『実体経済』
実体経済とは、実在する活動を根拠とする経済のことをいいます。
工場の稼働率→工員の方々の賃金の上昇→購買意欲が高まる→様々な商品が売れる→企業業績が更に伸びる
このような流れが予想されます。
この結果、投資活動という点に着目すれば、例えば株価の上昇が起こります。
『金融経済』
実体経済に対して、お金がお金を生み出す経済を金融経済といいます。
例えば、上記の流れから、株価の上昇が起きたとしましょう。
1,000円投資→株価が500円上昇→500円を追加投資→株価が750円上昇→更に750円を追加投資→株価が1,125円上昇→…
最初の1,000円から生まれた利潤を追加投資することにより、投資が投資を呼び込み、得られる利潤がどんどん高まっていきます。
ここでのポイントは、きっかけである実体経済の上昇による株価上昇は最初の500円分ということです。
非常に単純化してありますが、お金がお金を生み出すというニュアンスは、お分かり頂けましたでしょうか?
『経済の主役はどちら?』
経済活動の中でのお金の流れ、キャッシュフローの量は、実体経済と金融経済ではどちらが多いのでしょうか?
答えは、圧倒的に金融経済です。
つまり、極論をしてしまえば、現在の世界経済を動かしているのは、企業や個人、政府ではなく、お金そのものということになります。
ただし、きっかけはあくまで実体経済ですので、その点には留意が必要です。
以上がそのページに書かれていることで、引用しました。
この書き手は、割と端的に実体経済と金融経済を説明しているので分かりやすいです。
ただ、気をつけないといけないのは、経済の主役は金融経済と言い切っていますので、私とは言いたいことが異なります。
経済を見るときには、実体経済をまず見よう・・・というのが私の立場です。
大体、Googleで検索すると、証券会社、銀行、保険会社・・・そういう関係の、いわゆる株式投資家(トレーダー)みたいな人向けの解説がたくさん出てきますから・・・そういう人たちは金融経済を見るのですね。
ネットの情報では金融経済向けの情報があふれています。ただ、社会の経済状況を見る出発点は実体経済でなくてはなりません。それこそが生きている私たちが直接関わる「経済」なのですから。
まずは金融経済の状況ではなくて、実体経済の状況を考えましょう。
(続きます)
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