Windowsが出てくるまではパソコンのOSと言えば、MS-DOS(エムエスドス)でした。他にもパソコンOSはありましたが、すぐに淘汰されました。MS-DOSは日本国内の呼び名で、世界的にはPC-DOS(ピーシードス)です。世界に普及していたIBM-PCのOSです。実質的にMS-DOSはPC-DOSです。最初から日本語が使えるようになっているかどうかくらいの違いだと思って良いです。
MS-DOSの”MS”はもちろん、マイクロソフトを意味します。ウィンドウズが普及する以前からマイクロソフトはパソコンのOS市場をほぼ独占していました。
当時はパソコンの主力メーカーの多くは日本企業でした。日本電気(NEC)、富士通、日立、ソニー、シャープ、東芝などの大手企業です。これらのメーカーはほとんどがMS-DOSを前提としてパソコンを製造・販売しました。
(シャープはちょっと毛色の違うパソコンを作るメーカーでした。インテル社のCPUでなくて、モトローラ社のCPUを使っていたりしました)
MS-DOSは当初、フロッピィディスクに入っていました。ハードディスクはまだ普及していません。徐々にハードディスクが普及し始めて、MS-DOSを外付けハードディスクから起動するということができるようになります。パソコンにいつくらいからハードディスクが搭載(内蔵ハードディスク)になったのか、ちょっとすぐには分からないのですが、外付けだったハードディスクから内蔵ハードディスクになっても基本的には同じです。
昔のパソコンの画像を検索してみました。分かりますか?パソコン本体に薄いスリット状のドライブがある。大体2つあったりします。それがフロッピィディスクドライブです。当初、5インチサイズのフロッピィディスクが主流で、しばらくして3.5インチになりました。小型・大容量化したのです。それでも1枚のフロッピィディスクが1MB(メガバイト)です。
長々とフロッピィディスクやハードディスクの話をしましたが、どうしてかと言うと、パソコンが普及し始めた頃は、OS(MS-DOS)がフロッピィディスクに入れられて供給され、それを読み込んでパソコンは動き始めます。
OSの主たる役割りは3つあります。
- ファイルの管理
- アプリケーション(プログラム)の起動
- 周辺機器の管理
アプリケーションは起動可能ファイル(com形式、exe形式)で提供されるので、それもファイルです。つまりOSを使うということは、ファイルを扱うことがほとんどということです。
ファイルは基本的にフロッピィディスク上にありますので(後にハードディスク上になりますが)、ユーザーはどのディスクにファイルがあるかを意識しなくてはいけません。MS-DOSでは、ファイルはいずれかの「(ディスク)ドライブ」にあるのだとまず考える必要がありました。
そのため、ディスクドライブをアルファベットの文字を付けて区別するようにしました。
上の画像のパソコン本体を見ると、フロッピィディスクドライブが2つあることが多いので、まず最初のドライブを「A:ドライブ」とします。MS-DOSが入っている起動ディスクを入れてパソコンを起動するドライブです。
もう一つのドライブは別のフロッピィディスクが入れられます。データとかプログラムのファイルが入っている訳です。それを「B:ドライブ」と言います。
MS-DOSではこのそれぞれのドライブの下に「ファイルシステム」が作られます。
ちなみにハードディスクが普及しはじめて、最初は外付けハードディスクだったと言いました。ハードディスクがとても高価だったので、すぐにはみんなが使わなかったのです。ハードディスク1MB分が1万円くらい・・・だったらいいな・・・みたいなことが言われていた時代です。
10MB(メガバイト)のハードディスク(最初は固定ディスクと言われていました)が10万円って、想像できますか?くれぐれも10TB(テラバイト)ではありませんからね(笑)今だと、10TBの外付けハードディスクでも10万円もしないと思います。
そういう経緯で、MS-DOSでは「ドライブ」を意識することが必要でした。ハードディスクは外付けでしたから、まずフロッピィディスクのA:ドライブとB:ドライブがある前提で、その次の「C:ドライブ」がハードディスクの順番になります。
Windowsはパソコンに内蔵されたストレージ(HDD、SSD)に入っているのが普通ですが、その「ドライブ」は昔の名残でしょうか・・・C:ドライブ
パソコンを使う時、ドライブを意識しているユーザー、ファイルシステムを意識しているユーザーはどのくらいいるのでしょう?特に説明されなくても、当たり前のように使っているうちに何となく分かってくるものかもしれません。
Windowsの前身はMD-DOSで、ドライブを意識してファイルシステムを使っている・・・というお話でした。まずはこれがファイルシステムの大前提です。
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